2017年6月29日

「クボタショック」から12年  深刻さを増すアスベスト被害

クボタの被害者は500人を超え、中皮腫発症リスクは全国平均の10倍

工場周辺にアスベストを飛散させ、深刻な被害が明らかとなった「クボタショック」から6月末で12年。
クボタはが明らかにしたクボタ旧神崎工場周辺のアスベスト被害者に対する「救済金」の支払いは、300人に及び、クボタの労働者に労災上乗せ補償をした206人とあわせて、506人が中皮腫や肺がんなどのアスベスト疾患で亡くなったり、闘病したりしています。 (続きを読む…)

2017年3月14日

「尼崎の会」が12回総会を開催

引き続き、国・加害企業の責任の明確化と被害者救済に全力

いわゆる「クボタショック」から12年目を迎え、深刻なアスベスト被害が今なお続いている中、「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」(船越正信会長)は3月11日、尼崎市立小田公民館で第12回総会を開催、78人が参加しました。
開会に先立ち、冒頭に、6年前の東日本大震災、福島原発事故でたくさんの命が奪われ、尼崎ではクボタによるアスベスト飛散で500人以上の命が奪われており、犠牲者の冥福を祈って全員で黙祷しました。
総会では、日本共産党の堀内照文衆議院議員が45分間にわたって講演。森友学園への国有地払い下げをめぐる疑惑、南スーダンからの自衛隊撤退、アベノミクスの失敗などの重要課題にふれ、国会で取り上げたアスベスト被害者救済の活動などを報告しました。
船越正信会長は「アスベストによる肺がんは中皮腫の2倍と考えられているが、肺がん被害者の救済が非常に困難。労災型の裁判を通じて、司法の在り方が問われている。危険性が指摘されたにも関わらず、アスベストの輸入規制を怠り、使用を続けさせた国の責任は明らかだ。被害者がいる限り救済の活動を継続し、国・加害企業の責任追及も続ける」と開会あいさつしました。
粕川實則事務局長が昨年3月から今年2月までの活動のまとめと今後1年間の活動方針を提案、「クボタショックの同じ年にJR福知山線事故が起きた。いずれも人間の命よりも経済優先の政治が続けられてきた結果だ。アスベスト被害の風化を許さず、被害者とその家族に寄り添いながら解決を図りつつ、深刻な被害実態を全国に発信するとともに、各地で学習会を開催しよう」と呼びかけ、全員一致で確認しました。また、決算・予算、新年度の役員(全員が再任)も確認しました。

総会に寄せられたメッセージ
〇働くもののいのちと健康を守る全国センター 〇兵庫県保険医協会 〇日本共産党衆議院議員・赤嶺政賢様 〇日本共産党参議院議員・武田良介様

以上

2017年3月14日

第12回総会議案

2017年3月11日の第12回総会で、確認された議案は、以下の通りです。

2016年度のまとめ

(1)労災型、最高裁が「上告棄却」決定の暴挙

労災認定されても、「石綿濃度は低かった」と、誰の責任も問わない高裁判決を追認。大企業・国の意向に沿う、労働者の命を軽視した不当決定。
肺がんで死亡した、クボタ旧神崎工場に石綿を運搬したトラック運転手の遺族がクボタと国に、耐熱材として石綿製品を使用していた溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていた裁判(尼崎アスベスト訴訟・労災型)で、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)が、2016年5月26日、被害者に背を向けるひどい判決(被害者に、いつどこで、どの程度のアスベストに暴露したのかを、何十年もさかのぼって、具体的かつ詳細に立証を求めるという、不可能を強いる極めて不当な判断)を出したために2016年7月28日に最高裁に上告していましたが、11月10日、最高裁第二小法廷は「本件上告を棄却する」と決定し、敗訴が決まりました。
最高裁は9月16日、第二小法廷で審理を開始すると通知。わずか2か月足らずの「審理」でした。
環境型(山内・保井裁判)の最高裁審理は9か月近くに及んでおり、今回の労災型の最高裁審理がいかに拙速だったかがうかがえます。
「尼崎の会」は、最高裁からの「審理開始」通知を受けて、持ち回りの運営委員会で、最高裁への署名の開始を確認し、「高裁判決は、企業と国の意向に沿う形で事実をねじまげたもの 審理の差し戻しを求めます」との署名用紙を作成し、10月の運営委員会で「署名目標2万。第一次として11月末までに1万筆」として、構成団体や全国に呼び掛けて署名の取り組みをスタートさせていました。
「11月末までに1万筆の署名」をと、急な取り組みでしたが、尼崎医療生協が5,000筆以上、全国の団体や個人からの返信用封筒で3,000筆以上が集まり、1万人の署名の目途も立ち、12月上旬に最高裁担当書記官に届ける準備を進めてきましたが、極めて残念ながら、提出に至りませんでした。
労災型の大阪高裁判決は、アスベストに曝露したことを認めた労災認定と矛盾する判断でした。しかも、労働者が、何十年も前の石綿曝露の具体的な事実を、具体的かつ詳細に立証を強いる不当な判決でもありました。この最高裁決定は、こうした不当な高裁判決を確定させるものであり、強く抗議する声明を発表しました。協力していただいた団体、個人のみなさまには、「上告棄却」の報告と協力への感謝、署名活動の中止をお知らせしました。
私たちは、国やクボタをはじめとする石綿使用企業の責任を明確にしない限り、真の石綿被害者の救済につながらないことを訴えて、環境型に続き、労災型もあきらめずに裁判闘争を闘ってきました。
不当な結果となりましたが、石綿曝露による被害者は、今後も益々増え続けることが予想され、今なお続く深刻な石綿被害者の救済のために、国と石綿関係企業に対し、被害者に対する医療と生活面への全面的な補償制度の確立を求めるとともに、石綿被害者が真に救済されるため、裁判闘争を含む闘いを継続し、被害者に寄り添う救済活動を続けます。 (続きを読む…)

2017年3月4日

クボタの犠牲者500人を突破

増え続ける深刻なアスベスト被害

株式会社クボタは2月14日、「旧神崎工場周辺の石綿疾病患者並びにご家族の皆様に対する救済金支払い規程」に基づき、2016年12月末までに、300人に「救済金」を支払ったことを公表しました。クボタの労働者に労災上乗せ補償をした206人とあわせて、506人が中皮腫や肺がん、石綿肺などのアスベスト疾患で亡くなったり、闘病したりしています。
まさに、アジア最大の被害地域で、2008年以降はクボタ労働者よりも周辺住民の被害の拡大が目立ちます。
クボタの周辺住民被害者への「救済金」支払いは、被害者全員に行っているわけではありません。いわゆる「クボタショック」の翌年、2006年に「石綿健康被害救済法」が施行されましたが、国が責任を認めた賠償制度ではなく、責任を曖昧にしたもので、環境省の外郭団体である環境再生保全機構がアスベストによる疾患かどうかの「認定」作業を行っていますが、中皮腫でも85.4%、肺がんでは48.6%、全体でも74.5%の認定と、極めて低い水準となっています。
この環境再生保全機構の「認定」がされても、クボタは「他のアスベストの可能性がある」などと「救済金」の支払いを拒んだケースもあります。したがって、クボタが公表した「周辺住民300人」は極めて低く抑え込まれた人数と考えられます。

毎年1回は、アスベスト健診を受けましょう

相談活動を通じて、「風邪のような症状だったので薬局の薬で済ませた」「自覚症状はなかったが、健康診断で異常が指摘され、精密検査をしたら中皮腫だった」などの話を聞きます。
突然に発症するのが、アスベスト疾患の特徴ともいえます。尼崎は中皮腫の死亡者が全国平均の10倍以上の超ハイリスク地域です。今は「大丈夫」でも安心はできません。年1回は、検診受診を!

以上

2017年2月16日

尼崎の中皮腫死亡者2015年も41人

尼崎は全国の10倍以上のハイリスク地域

尼崎市は今年2月6日に「平成27(2015)年人口動態統計の概要」を発表しました。これによると、2015年の中皮腫による死亡は41人(男性26人、女性15人)。

増加傾向は加速しています。 中皮腫(胸膜中皮腫、腹膜中皮腫など)は、「そのほとんどがアスベスト(石綿)を吸ったことにより発生します。アスベストを扱う労働者だけでなく、労働者の家族やアスベスト関連の工場周辺の住民にも発生しています。アスベストにさらされること(曝露:ばくろ)が多いほど、またその期間が長いほど発症の危険性が高くなります。女性より男性に多くみられます。女性の患者さんの中にはアスベストとの関連が明確でない場合もあります。アスベストを吸ってから中皮腫が発生するまでの期間はとても長く、25年から50年程度(平均で40年ほど)経ってから発生するとされています」(国立がん研究センター)。

全国の中皮腫死亡者は、年間約1,400人。10万人に1人の割合です。しかし、尼崎市ではクボタが旧神崎工場(JR尼崎駅のすぐ東)で1954(昭和29)年から95(平成7)年までの41年間にわたって23万トン(中皮腫を発症するリスクが500倍とされる青石綿8.8万トンを含む)を超える大量のアスベストを使用し、石綿セメント管や建材を製造してきた影響で、1万人に1人の割合で中皮腫による死亡という深刻な被害が出ているのです。 この41人の中皮腫死亡数は、尼崎市在住者の死亡数です。尼崎で働き、定年後に故郷に帰り、故郷で亡くなった人数は当然のことながらカウントされていません。ですから、いかに深刻な事態かがわかります。

堀内照文議員の要求に 「教育委員会の責任で周知する費用は環境省が負担することは可能」

相談活動を通じて、小田南中学校卒業生に中皮腫等のアスベスト被害が目立つことから、日本共産党の堀内照文衆議院議員が環境省と折衝。「卒業生名簿を持っている教育委員会自身が(健診)受診奨励を行う通知を行った場合、その費用を環境省が負担することは可能」(環境省石綿健康被害対策室主査)との答弁を、12月7日に引き出しました。あとは、尼崎市及び教育委員会の姿勢次第です。

以上

2017年2月14日

第12回総会のご案内

2005年6月29日の、いわゆる「クボタショック」から12年目を迎えます。
労災型の大阪高裁判決は、労働者の生命よりも産業を優先する極めて不当なもので、最高裁判所第二小法廷も「上告棄却」という、憲法25条を無視した不当な決定を行いました。
アスベストによる被害は拡大の一途をたどっており、厚労省が発表した中皮腫死亡者数は年間1,400人にものぼり、尼崎市における中皮腫死亡者は、毎年30~40人と、全国的に突出した異常な犠牲者を数えます。尼崎では10倍以上のリスクです。アスベストを吸い込んで発症するまで20~50年の潜伏期間があることを考慮すれば、被害の本格的な発症はこれからです。
今回の総会では、第一部で「アスベスト問題と国の姿勢」と題して、堀内照文衆議院議員に国政の場での取り組みを報告していただき、1年間の闘いを振り返り、今後1年間の運動方針を確認します。多数のご参加をお願い致します。

2017年3月11日(土) 午後2時~

尼崎市立 小田公民館 大ホール

① 学習会「アスベスト問題と国の姿勢」 堀内照文衆議院議員
② 船越会長あいさつ
③ 一年間のまとめと運動方針の確認
④ 決算、予算の確認
⑤ 新役員体制の選任
*JR尼崎駅北側、ホテル・ホップインアミングの東側、キューズモール尼崎の駐車場が便利です

2016年11月15日

尼崎アスベスト訴訟(労災型) 最高裁が「上告棄却」の暴挙

最高裁が労災認定されても、「石綿濃度は低かった」と、誰の責任も問わない高裁判決を追認。
大企業・国の意向に沿う、労働者の命を軽視した不当決定。

尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手の遺族が国とクボタに、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていた裁判で、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)が、石綿の規制を怠った国と加害企業・クボタの責任を問うことに背を向けるひどい判決だったために最高裁判所に上告していましたが、11月10日、最高裁第二小法廷は「上告棄却」を決定し、原告に通知してきました。これにより、大阪高裁判決が確定しました。
これで、2009年10月13日の神戸地裁での第1回弁論から7年間、経済優先より働く者の命の優先を訴えて闘いを継続してきました。極めて不当な「決定」ではありますが、法廷での闘いは終了することになりました。
地裁、高裁の大法廷をいつも満席にして原告を励まし、署名活動等で裁判闘争を支えていただいた広範な団体・個人のみなさまに、心から感謝申し上げます。
尼崎市ではクボタ旧神崎工場のからの甚大なアスベストの飛散(クボタが「認定」した周辺住民被害者292人)により、全国平均の10倍の中皮腫患者が発生しており、クボタが操業していた尼崎市小田地域では30~50倍の被害が出ています。私たちは今後もアスベスト被害者に寄り添って、解決のために全力を尽くします。

尼崎アスベスト(労災型)訴訟の経過

原告は、尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手と、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の2遺族。(2名とも労災認定済み)
7年前の2009年10月13日に神戸地方裁判所で審理がはじまり、2014年3月26日の結審まで22回の弁論が行われ、2015年3月23日の地裁判決は、原告の請求を否定した、労働者の生命よりも産業を優先させ、国の責任を不問とする不当な判決だった。
「飛散していたアスベストは高濃度ではなかった」という。原告らは直ちに控訴した。
控訴審は、2015年9月7日の審理からスタートし、3回の審理を経て2016年5月26日に高裁判決があった。原告敗訴。高裁判決も、労災認定と矛盾する判断であり、しかも労働者がいつどこでアスベストに曝露したのかを、何十年もさかのぼって立証するという不可能を強いる極めて不当な判断だった。クボタが局所排気装置により十分な対策をしていたというのは、重大な事実誤認(有効な排気装置を付けておれば、旧神崎工場周辺住民に被害が出ることはなかった)である。被告クボタの従業員に多数の労災認定者が出ている事実が,被告クボタの対策の不十分を裏付けている。
国・加害企業の責任を明確にしない限り真の救済策はできないと上告。最高裁は9月16日、第二小法廷で審理を開始すると通知。2か月足らずの11月9日付で最高裁が「本件上告を棄却する」と決定し、翌10日に通知が届く。

以上

2016年11月15日

最高裁向けの署名活動を中止します

ご支援いただいている関係団体各位
支援者の皆さん

尼崎アスベスト(労災型)訴訟 最高裁が「上告棄却」。
これまでの署名のご協力に感謝し、署名活動を中止いたします。ご支援、ありがとうございました。

2016年11月14日
アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会
会長 船 越 正 信

尼崎アスベスト訴訟(労災型)は、溶接工とクボタの旧神崎工場にアスベストを搬入していたトラック運転手が、それぞれアスベスト曝露が原因で肺がんに罹患して亡くなったため、その遺族が、規制を怠った国、労働者に対する安全配慮義務を怠ったクボタに対し、それぞれ責任を明確にするために賠償を求めたものでした。
2015年3月の神戸地裁判決は、1961年から1967年までアスベスト曝露していたトラック運転手については、その当時、低濃度のアスベスト曝露によって重大な健康被害が生じるとの医学的な知見は確立されていなかったとして、国とクボタの責任を否定。また、1968年から1997年までアスベスト曝露していた溶接工については、労災認定を受けていたにも関わらず、具体的な作業内容やアスベストへの曝露状況が不明であり、高濃度のアスベスト曝露とはいえないとして、国の責任を否定しました。しかも、地裁判決は、従来の裁判例を否定したもので、医学的知見が確立されていない限りは労働者の健康を考慮せずに自由な企業活動ができるという、人命よりも企業活動を優先する特異なものでした。
大阪高裁も2016年5月26日の判決で、「認定事実を総合的に用いて評価するという因果関係の判断手法に関する最高裁判例」に反する不当なものでした。
ご存知のように、アスベストによる健康被害は、低濃度曝露であっても、20~50年経過後に肺がんや中皮腫発症の可能性はあるのです。私たちは、深刻なアスベスト被害に正面から向き合い、働くもののいのちと健康を尊重する、公平かつ公正な判決を下されるよう最高裁に審理の差し戻しを求めてきました。「この裁判での勝利なしに、全国で泣き寝入りさせられている労災被害者の完全救済はない」との思いから、最高裁に上告したのです。
上告理由書の審理が始まって、2か月足らずで、最高裁第二小法廷から、突然「上告を棄却する」決定通知が届きました。お願いしていました署名活動を中止せざるを得なくなりましたことをお詫びいたします。
おびただしい中皮腫や肺がんの被害が出ている全国のアスベスト被害者の立場に立った審理を尽くしたのか、最高裁の「決定」に強い憤りをおぼえます。私たちは、この不当な最高裁「決定」にくじけることなく、被害者に寄り添い、救済活動の継続と、ハイリスク者の検診制度充実、全面的な賠償制度の確立に力を注ぎます。
これまでの力強いご支援に感謝申し上げますとともに、引き続くご協力をお願い申し上げます。

以上

2016年11月15日

尼崎アスベスト訴訟(労災型)最高裁決定に対する声明文

尼崎アスベスト訴訟(労災型)最高裁決定に対する声明文

2016(平成28)年11月14日

兵庫尼崎アスベスト訴訟原告団
アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会
兵庫尼崎アスベスト訴訟弁護団

1 最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は,2016年11月9日付で「本件上告を棄却する」と決定し,原告らの上告を棄却し,上告受理申立を受理せず,国及び加害企業・クボタの賠償を認めなかった。
2 本訴訟は,溶接工として長年働いていた労働者と,クボタ旧神崎工場に石綿原料等を運搬していたトラック運転手が,それぞれ石綿ばく露が原因で肺ガンに罹患して死亡したため,その遺族が,溶接工については規制を怠った国に対し,トラック運転手については,規制を怠った国と労働者に対する安全配慮義務を怠ったクボタに対し,賠償を求めたものである。
3 原審である大阪高等裁判所は,その判決において,溶接工については石綿曝露の事実が認められないとして,国の責任を否定した。また,トラック運転手については,石綿原料の搬入作業を通常業務として行っていたとはいえないと認定し,新たな証拠調べ手続きを行うことなく,一審である神戸地裁判決と全く逆の事実認定を行い,原告らの請求をいずれも棄却した。
4 原審判決は,石綿に曝露したことを認めた労災認定と矛盾する判断であり,しかも,労働者が,何十年も前の石綿曝露の具体的な事実を,具体的かつ詳細に立証を強いる不当な判決である。本件最高裁の決定は,こうした不当な原審判決を確定させるものであり,我々は,最高裁の本決定に強く抗議するものである。
5 我々は,国やクボタをはじめとする石綿使用企業の責任を明確にしない限り,真の石綿被害者の救済につながらないことを訴えて,裁判闘争を行ってきた。本件裁判は,不当な結果となったが,石綿曝露による被害者は,今後も益々増え続けることを予想されるが,今なお続く深刻な石綿被害者の救済のために,国と石綿関係企業に対し,被害者に対する医療と生活面への全面的な補償制度の確立を求めるとともに,石綿被害者が真に救済されるため,我々は,裁判闘争を今後も行い,被害者に寄り添う救済活動を継続する。

以上

2016年9月12日

労災型、最高裁に上告受理申立て理由書を提出

「高裁判決は、因果関係の判定手法に関する最高裁判例違反」

5月26日、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)が被害者の控訴を棄却しました。石綿の規制を怠った国と加害企業・クボタの責任を問うことに背を向けるひどい判決でした。
この裁判は、尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手の遺族が国とクボタに、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていたものです。

原告の山本さんと藤原さんは、弁護団と相談し、「高裁判決は誤りだ。泣き寝入りはできない」と、最高裁に上告する準備を進め、このたび、最高裁に「上告受理申立て理由書」を7月28日に提出しました。

高裁判決は、大企業・国の意向に沿う形で事実をねじまげたもの

「理由書」では、山本さんの労災死亡は、裁判官が、クボタ旧神崎工場内のアスベスト飛散が深刻だったことを無視して「(アスベスト粉じんばく露が)格段に低い」との推論をたて、自らの推論に沿わない事実を無視して組み立てたものにほかならないと指摘。したがって、高裁判決は、「認定事実を総合的に用いて評価するという因果関係の判断手法に関する最高裁判例」に違反するものです。しかも、不法行為ないし安全配慮義務違反の因果関係の解釈適用の違法があり、総合考慮を支えるべき経験則違反に該当することを主張しています。
高裁が間接事実を総合的に適正に評価すれば、クボタの加害責任は明らかです。まず、①山本さんがクボタの下請け業者として旧神崎工場の出荷作業場で仕事をしていたこと、②旧神崎工場では大量のアスベスト粉じんが飛散していたこと、③出荷作業場は屋外にあったために工場敷地内の飛散粉じんに容易に暴露しえたこと、④敷地内だけでなく工場周辺にも粉じんが大量に飛散していたこと、⑤クボタ労働者の労災認定数の多さ、⑥クボタ下請け業者にも石綿による肺がん事例が多くあること、⑦クボタ旧神崎工場周辺住民にも多大な被害者がいること、⑧クボタ自身が工場から1km以内に1年以上居住していた者であれば石綿被害に遭うことを自認していること、⑨クボタ旧神崎工場が発がん危険性の高い青石綿を大量に使用していたこと、⑩山本さんには胸膜プラークが認められ、主治医も石綿との因果関係を指摘し、厚労省もアスベストによる肺がんであると労災決定をした事実、などです。
これらを総合すると、山本さんの肺がんの原因は、クボタからのアスベスト飛散のばく露であることは明確です。しかし、大阪高裁は、あたかも最初から「クボタの加害責任、国の規制責任はなかった」という偏った判決を書くために、事実をねじ曲げたことを上告理由書では強調しています。
藤原さんについても、アスベストによる肺がんとして労災認定されているにもかかわらず、「(アスベスト以外でも)肺がんを発症した可能性が十分にあり、因果関係を認めるに足りない」と事実を無視したものであり、労働者の生命や健康よりも経済活動を優先した許せないものと指摘し、高裁判決を差し戻すよう求めています。

以上

2016年5月31日

大阪高裁の不当判決を受けての声明文

5月26日の大阪高裁の不当判決を受け、原告団、弁護団、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は、判決後の報告集会で以下の声明文を発表しました。

声  明  文

2016(平成28)年5月26日

兵庫尼崎アスベスト訴訟原告団
兵庫尼崎アスベスト訴訟弁護団
アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会

本日,大阪高等裁判所第1民事部(裁判長:佐村浩之)は,原告らの請求を棄却し,一審被告国及び一審被告クボタに対し,賠償を認めなかった
本訴訟は,溶接工として長年働いていた労働者と一審被告クボタの工場に石綿原料を運搬する等していたトラック運転手が,それぞれ石綿ばく露が原因で肺ガンなどに罹患して死亡したため,その遺族が,規制を怠った国及び労働者に対する安全配慮義務を怠った一審被告クボタに対し,賠償を求めたものである。
本判決は,溶接工については石綿エプロン等を使用していたこと自体が明らかでなく,曝露の事実が認められないとして,一審被告国の責任を否定した。また,トラック運転手につき,石綿製品の搬出作業を行っていたにすぎず,石綿原料の搬入作業を通常業務として行っていたと認められない,また,従事期間も4~5年と一審判決より短期間であり,肺がん発症に影響する程度の石綿暴露を否定し,一審原告らの請求をいずれも棄却した。
本判決は,原判決に引き続き,石綿に曝露したことを認めた労災の認定と矛盾する判断であり,しかも,労働者がいつどこで,どの程度の量のアスベストに曝露したのかを,何十年もさかのぼって,具体的かつ詳細に立証を求めるという不可能を強いる極めて不当な判断である。
大阪・泉南アスベスト最高裁判決で国や加害企業の責任に一端が明らかになったにも関わらず,本判決は,これら責任を否定しており,極めて不当な判決である。さらに,国の責任を認めた建設アスベスト大阪訴訟判決,国に加え,石綿建材を製造販売した企業にも責任を認めた建設アスベスト京都訴訟判決が相次ぎ,アスベスト被害者救済を求める世の中流れに逆行するものと言わざるを得ない。
我々は,本判決に対し,直ちに上告を検討するとともに,国とアスベスト関係企業に対し,被害者に対する医療と生活面への全面的な補償制度の確立を求めるものである。

以上

2016年5月29日

労災型・尼崎アスベスト訴訟 大阪高裁が不当判決

労災認定されても石綿関連死を否定する暴挙

石綿の規制を怠った国と加害企業・クボタの責任を問う尼崎アスベスト訴訟(労災型)の控訴審判決が26日、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)であり、被害者の控訴を棄却しました。
この裁判は、尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手の遺族が国とクボタに、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていたものです。
判決は、「石綿運搬作業での肺がん発症と本件(クボタ旧神崎)工場での石綿暴露との間には因果関係を認めるに足りない」、「溶接工の肺がん罹患は、従事していたと認められる石綿取扱業務との因果関係を認めるに足りない」と被害者を切り捨 て、「原告の請求はいずれも理由がない」と言い切りました。神戸地裁判決が「低濃度の石綿曝露」、「具体的な曝露状況が不明」として国・クボタの責任を免罪しましたが、これ以上に不当なものです。

被害者に、いつどこで、どの程度のアスベストに暴露したのかを、何十年もさかのぼって、具体的かつ詳細に立証を求めるという不可能を強いる極めて不当な判断。上告を検討。…………原告、弁護団、「尼崎の会」が声明

判決後の報告集会で、原告団、弁護団、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は連名で「声明文」を発表。和田信也弁護団事務局長は、肺がんと明らかに暴露を受けていた石綿の因果関係を認めず、国とクボタの責任を否定した判決について、石綿に暴露したことを認めて労災認定されていることの矛盾を指摘。被害者に何十年もさかのぼって、具体的かつ詳細に立証責任を求める不当性を告発し、各地の裁判での石綿被害者救済の流れに逆行するものと厳しく糾弾しました。
声明文では「本判決に対し、直ちに上告を検討するとともに、国とアスベスト関連企業に対し、被害者に対する医療と生活面への全面的な補償制度」を求めています。
原告の2人が、傍聴、報告集会に詰めかけた130人の支援者に感謝するとともに、判決への思いを語りました。

以上

2016年4月15日

第11回総会に72人が参加 国・加害企業の責任追及に全力

いわゆる「クボタショック」から11年を迎え、深刻なアスベスト被害が今なお続いている中、「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」(船越正信会長)は4月2日、尼崎市立小田公民館で第11回総会を開催、72人が参加しました。
労災型の尼崎アスベスト訴訟控訴審は、2月15日に結審し、大阪高裁で5月26日に判決が言い渡されます。総会では、「尼崎アスベスト訴訟の到達点と今後の展望・課題」について弁護団の和田信也事務局長と菊田大介事務局次長が講演。各地の建設アスベスト訴訟では、国の責任について、東京、福岡、大阪、京都の各地裁が認め、京都では、建材メーカーの責任まで認めたことなどにふれながら、労働安全衛生法に基づく規制権限(具体的で実効性のあるもの)不行使の違法性が認められていると指摘し、5月26日の大阪高裁判決に期待しているとまとめました。 (続きを読む…)

2016年4月5日

石綿被害リスク調査事業実施6自治体が、「恒久的な健康管理システム」の創設を求める

環境省の委託を受けて「一般環境経由による石綿ばく露健康リスク調査」を実施している尼崎市、鳥栖市、奈良県、横浜市、羽島市、北九州市の6自治体は連名で、3月3日、環境省に対して「石綿ばく露の可能性のある者の健康管理についての要望」を提出しました。
この「要望」では、①将来中皮腫や肺がん等、石綿関連疾患のリスクを有する者に対する検診の実施など、恒久的な健康管理システムの創設、②石綿救済法の充実、③住民自らが適切に健康管理を行うために必要なリスク情報の開示、をあげています。
2005年のいわゆるクボタショックを受けて、06年に制定された石綿救済法は、政府が国の責任を認めないまま制定されたもので、死亡しても「救済金」は300万円足らず、石綿大量使用工場周辺住民の健康管理は盛り込まれませんでした。
6自治体は、恒久的な健康管理システムの創設を強く求め、「労働者については、労働安全衛生法に基づく健康管理手帳の制度があるが、一般環境経由の石綿ばく露者には何ら健康管理をする手立てがない」と指摘し、「労働者に対する制度との衡平性の点からも、国の責任において、石綿ばく露」の可能性のある者等が、全国の医療機関において無料で健診及び保健指導等が受けられる制度」を早急につくるよう求めています。
さらに、石綿救済法の充実に関しては、労働者と同等の補償や健康管理ができるように、①労災と同様の5疾病に拡大、②特別遺族給付金や救済給付、休業補償等の充実、等をあげています。

尼崎市のアスベスト被害から「市民のいのちを守る」姿勢が前進

これらの「要望」は、2014年5月に、船越会長を含む「尼崎の会」運営委員会が稲村尼崎市長に疫学調査の早急な実施とともに求めていたものです。
相談活動を通じて蓄積した問題点を伝え、要求や懇談を重ねる中で、尼崎市がリスク調査参加自治体に働きかけて、今回の「要望」となったものです。
国が「責任」を認めていない現状では実現は容易ではありませんが、全国の関係団体や、国会議員の超党派で結成されているアスベスト議連、市議団、県議団とも連携し、私たちも実現のために力を尽くすことが求められます。

以上

2016年4月1日

5月26日に、労災型・尼崎アスベスト訴訟の大阪高裁判決

山本隆彦さん、藤原信之さんの遺族が、加害企業・クボタとアスベストの規制を怠った国の責任認めるように訴えた大阪高裁での裁判は、2月15日に結審しました。
この労災型アスベスト訴訟控訴の結審で、原告弁護団は、労働者の生命よりも産業活動を優先させた神戸地裁判決を厳しく批判し、1月22日の大阪建設アスベスト訴訟大阪地裁判決、同22日の京都建設アスベスト訴訟京都地裁判決が、双方とも国の責任を認めていることにふれ、「加害企業が利益追求のために安全策をとらず、そのしわ寄せが労働者の命に及んだこと、国の不作為が被害を拡大させた事実を真摯に受け止め、経済活動を優先させるのか、人命・健康を優先させるのかという価値判断を伴う重要な事件であることを認識の上、公正な判断を」と訴えました。
いよいよ大阪高裁で5月26日午後1時20分に判決が言い渡されます。
労災型の尼崎アスベスト訴訟判決を、これまでの運動の総仕上げと位置づけ、大法廷を埋めつくしましょう。多くのみなさんの参加をお願いします。

集合時間  5月26日(木) 12時30~
集合場所  大阪高等裁判所 南の広場(大阪高裁の真南)

判決後の報告集会は、大阪市中央公会堂・小集会室で開催します。こちらへの参加もよろしくお願いいたします。

2016年3月1日

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会 第11回総会のご案内

2005年6月29日の、いわゆる「クボタショック」から11年目を迎えます。
労災型の神戸地裁判決は、労働者の生命よりも産業を優先する極めて不当なもので、直ちに大阪高裁に控訴し、闘いを継続してきました。2016年2月15日に結審となり、いよいよ5月26日に判決が言い渡されることになりました。
アスベストによる被害は拡大の一途をたどっており、厚労省が発表した中皮腫死亡者数は年間1,400人にものぼり、尼崎市における中皮腫死亡者は、毎年30~40人と、全国的に突出した異常な犠牲者を数えます。全国的には10万人1人、尼崎では1万人に1人、10倍のリスクです。アスベストを吸い込んで発症するまで20~50年の潜伏期間があることを考慮すれば、被害の本格的な発症はこれからといえます。
この1年間の闘いを振り返り、今後1年間の運動方針を確認する総会を下記の日程で開催します。多数のご参加をお願い致します。

2016年4月2日(土) 午後2時~
尼崎市立 小田公民館 大ホール

① 尼崎アスベスト訴訟(労災型) 到達点と今後の展望・課題
② 原告の訴え
③ 一年間のまとめと運動方針の確認
④ 決算、予算の確認
⑤ 新役員体制の選任

*JR尼崎駅北側、ホテル・ホップインアミングの東側、キューズモール尼崎の駐車場が便利です

2016年2月19日

労災型・尼崎アスベスト訴訟 控訴審判決公判は、5月26日

労災型・尼崎アスベスト訴訟は、2月15日の第三回審理で結審となり、大阪高裁の判決公判が5月26日(木)と決まりました。午後1時20分に判決が言い渡されます。
判決日当日の行動につきましては、別途、ご案内いたします。

以上

2016年2月19日

2月15日の労災型・尼崎アスベスト訴訟控訴審第三回弁論の内容

2016年2月15日の労災型・尼崎アスベスト訴訟控訴審第三回弁論で、原告弁護団が主張した内容は、以下の通りです。

1、平成28年1月22日,関西建設アスベスト大阪訴訟の判決の言渡しが大阪地裁でありました。
この訴訟は,建設現場で使用された建材から石綿粉じんが飛散し,それにばく露して,石綿肺,肺がん及び中皮腫を発症した建設労働者とその遺族ら30人が原告として,建材の製造メーカーと国に対し,被害の賠償を請求した事件です。この事件で,大阪地方裁判所第16民事部は,規制に遅れがあったとして国の責任を認め,原告14人に対して計9746万円を支払うよう国に命じました。
争点となったのは,労働者に石綿の危険性を警告し,防じんマスクの着用をさせる義務を,事業者に課すべき時期です。
判決では,建設現場での石綿被害の危険性について,国は,遅くとも1975年(昭和50年)までに認識できたと判断し,1975年(昭和50年)10月から着用を義務づけるべきだったと指摘しました。国が実際にこれを義務化したのは1995年(平成7年)でした。
さらに,大阪地裁は,1995年(平成7年)に,国が石綿の製造を禁止するにあたり,白石綿を除外したことも違法と判断しました。国が白石綿も含めた全石綿を原則使用禁止としたのは,2004年(平成16年)のことです。

2、関西建設アスベスト訴訟の判決に続き,平成28年1月29日には,京都地方裁判所でも,国と企業を被告する建設アスベスト訴訟判決が,言い渡されました。
京都地方裁判所第4民事部は,大阪地裁の判断からさらに一歩進め,国の責任だけでなく,建材メーカー9社に対しても責任を認め,国に対し,総額1億418万3331円,企業らに対し,総額1億1245万3331円円の支払を認める判決を言い渡しました。
この京都地裁判決でも,1971年(昭和46年)頃ないしは1972年(昭和47年)頃に,国が規制権限を行使すべできあったとして,国の規制権限不行使の違法性を認定しました。
また,主要なアスベスト建材企業に対し,警告表示なく販売した石綿含有建材を流通においた,という点につき違法性を認定し,共同不法行為責任を肯定しました。
京都地裁判決は,アスベストの危険性に着目し,人命,健康よりも利益追求が優先されることがないよう正当な判断をしたものであり,高く評価されるべきです。本件訴訟においても,まさに,問われているのは,国,企業の責任です。

3、建設アスベスト訴訟では,東京地裁や福岡地裁でも国の責任が肯定されております。全国の裁判所で国の規制権限行使の遅れが指摘,断罪をされており,アスベスト被害は,国やアスベスト関連企業の責任であることは,もはや明らかです。
ところが,原審である神戸地裁は,こうしたアスベスト被害者の救済の流れに反する判決を下しました。国や企業はアスベストの危険性が認識できなかった,何十年前のアスベストの曝露について詳細な立証がない限り,曝露の事実を認めないとの原審の判断がこうした全国各地の判決とは全く異質の判決であり,控訴審において正されるべきことは明白です。

4、国やクボタは,加害者の立場にあるにも関わらず,その責任を認めようとしません。被害者藤原さんは,国により労働災害であるとの認定を受けています。しかし,国は,被害者藤原さんの石綿曝露の事実を否定するなど,自らが行った労災認定と矛盾をした主張をしています。
また,クボタは,最高裁において確定した別訴において,旧神崎工場の外まで石綿が飛散していることが認定されているにもかかわらず,本件では,被害者山本さんが,旧神崎工場の敷地で,アスベストに大量ばく露をした事実を否定しています。
このような主張一つとっても,国や企業が,生命,健康よりも利益を優先して
守るという意識を有しているとしか思えません。

5、貴裁判所におかれましては,利益を求めてコスト削減を優先したため,そのしわ寄せが労働者の命に及んだという事実を真摯に受け止め,経済活動を優先させるのか,人命,健康を優先させるのかという価値判断を伴う重要な事件であるということを認識の上,公正な判断を下すようお願い申し上げます。

以上

2016年2月19日

労災型・尼崎アスベスト訴訟第三回弁論に90人が傍聴支援

神戸港からクボタにアスベストを運搬して肺がんで死亡した山本隆彦さん(享年63歳)と、溶接作業で耐熱手袋などから飛散したアスベストを吸い込んで肺がんで死亡した藤原信之さん(享年56歳)の遺族が、規制を怠った国とクボタの責任を問う労災型の尼崎アスベスト訴訟の控訴審が2月15日、大阪高裁で第三回弁論が行われました。当日は、雨まじりの木枯らしが吹き荒れる寒い天候でしたが、90人が傍聴し、原告を激励しました。 (続きを読む…)

2016年2月19日

労災型・大阪高裁に996筆を追加提出、累計で12,416筆

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は、2月15日、「労働者のいのちと健康を尊重する公平、公正な判決を求めます」署名996筆を第二弾として大阪高裁第一民事部E係に提出しました。累計で12,416筆となりました。

2016年1月18日

労災型 大阪高裁第3回審理は2月15日

尼崎アスベスト(労災型)裁判
控訴審第三回審理!大阪高裁に集まろう!
2月15日(月) 午後1時~
集合場所  大阪高等裁判所 南の広場(大阪高裁の真南)

9月4日の控訴審第一回審理では、原告の藤原ノリエさんが「地裁判決は許せない。もう一度、立ち上がることにしました」、山本美智子さんが「クボタや国の責任が認められるのは当たり前。高裁は私たちの声に耳を傾けて」、と意見陳述し、満席の傍聴者の胸を打ちました。
12月4日の第二回審理では、弁護団が「労働者の命よりも産業を優先させ、国・加害企業の責任を不問とする不当な地裁判決を、厳しく批判し、①『安全配慮義務』は抽象的危険・危惧があれば予見可能性があるとした判例を踏みにじった、②遅くとも1964~65年ころまでに確立していた予見可能性を無視した、③被害者・山本、藤原両氏の「アスベスト曝露濃度が低かった」とする地裁判決は、アスベスト被害の実態を無視したもの」等々と、主張しました。
大阪高裁での第三回の審理が2月15日午後1時30分から開かれます。202号法廷(大法廷)です。傍聴席を埋め尽くしましょう。
多くのみなさんの参加をお願いします。

裁判後の報告集会は、大阪市中央公会堂・小集会室です。

以上

2015年11月20日

11月17日 クボタ本社前要請行動に75人

クボタは、加害責任を認め謝罪せよ!

クボタの発表(本年9月末現在)によれば、兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺住民279人が、中皮腫やアスベスト関連疾患に罹患し、死亡・闘病という甚大な被害を出しています。クボタ労働者の犠牲者も195人。あわせて474人が犠牲となり、今も増え続けています。医学的な資料が整わず泣き寝入りした方は、想像もつかない数と思われます。
最高裁決定によって、クボタが同工場周辺住民に中皮腫など死に至る深刻な健康被害をもたらしていたことが法的に確定。クボタは賠償金を振り込みました。しかし、最高裁決定から9ヶ月経っても、被害者に対する直接の謝罪すらありません。「いのちを金で買うのがクボタの姿勢か」と指摘されています。
「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」(以下、尼崎の会)は11月17日、クボタ本社(大阪市浪速区)正面玄関前で「人口密集地の旧神崎工場で1954年から95年までの41年間にわたって23万トン(中皮腫を発症するリスクが500倍とされる青石綿8.8万トンを含む)を超える大量のアスベストを使用し、石綿セメント管や建材を製造し、製造工程から発生したアスベスト粉じんを工場周辺に撒き散らしてきた。クボタ旧神崎工場周辺のアスベスト被害者は、アジア最大の規模となっています。この深刻な犠牲の上に、今日のクボタがある」と指摘。被害者への直接の謝罪を求めました。この行動には、雨にもかかわらず、75人が参加し、通行人や北隣する大型電器ショップの買い物客にビラを配布しました。
被害者遺族の山内康民さん、徳田稔尼崎市議、尼崎医療生協の小林健一さん、尼崎の会の粕川實則事務局長らがリレートークし、クボタの姿勢を糺しました。

以上

2015年11月17日

クボタは、加害責任を認め、謝罪せよ!(クボタ本社前配布ビラ)

クボタは、加害責任を認め、謝罪せよ!

「50年の経過後に『排出行為に無過失責任』を負わせるのは、経済活動の自由及び財産権に対する侵害で許されない」(裁判におけるクボタの主張)

裁判で加害責任を断罪されても、遺族に謝罪しないクボタ社長

クボタの発表(本年9月末現在)によれば、兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺住民279人が、中皮腫やアスベスト関連疾患に罹患し、死亡・闘病という甚大な被害を出しています。クボタ労働者の犠牲者も195人。あわせて474人が犠牲となり、今も増え続けています。医学的な資料が整わず泣き寝入りした方は、想像もつかない数と思われます。
最高裁判所第三小法廷は、本年2月17日付けで大阪高等裁判所の判決を支持し、クボタの加害責任が確定しました。
クボタは、2005年6月の「クボタショック」以降、自らが使用し続けてきたアスベストとの因果関係は明らかでないとして、法的責任を否定し続けてきました。世論に押されて、クボタは、2006年4月の「救済金」の支払い制度をつくりましたが、「旧神崎工場の近くにお住まいの方に影響を及ぼした可能性は否定できない」と、責任を曖昧にしたままです。一方、裁判では一転して「早くから自動化・密閉化をしており、アスベストの飛散はない」と、最後まで責任を完全否定し続けたのです。 (続きを読む…)

2015年11月6日

「クボタショック」から10年 続く甚大な被害と加害企業・国の重大な責任

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会
事務局長 粕川實則

クボタの加害責任が確定

兵庫県尼崎市のJR尼崎駅東に位置する、クボタ旧神崎工場の労働者79人だけでなく、周辺の住民に中皮腫などのアスベストによる健康被害が多発していることが2005年6月29日の新聞報道で明るみになった事件、いわゆる「クボタショック」から今年で10年目を迎えます。
公害型の尼崎アスベスト訴訟の上告審は、今年2月17日、最高裁判所第三小法廷(大谷剛彦裁判長)が原告(中皮腫で死亡した2遺族)とクボタ双方の上告を棄却し、大阪高裁の判決が確定しました。高裁判決は、クボタの周辺住民への加害責任を認め、1遺族に対して同社に約3,200万円の支払いを命じましたが、国の責任は不問としました。しかも、大阪高裁が認めたクボタの「責任飛散範囲」はクボタ旧神崎工場から300mと、被害実態とはかけ離れたものですが、公害としてのアスベスト被害を認定したのは全国で初めてのことです。山内孝次郎さん(享年80歳)の遺族、保井綾子さん(同85歳)の遺族が、加害企業クボタ、有効な対策を取らなかった国の責任を明確にすることを求めて、それぞれ2007年5月、08年12月に提訴し、6年から8年近くを経て判決が確定しました。極めて不十分な結果でしたが、多くの関係団体や個人に支えられて粘り強く闘ってきた結果です。 (続きを読む…)

2015年11月6日

12月4日、尼崎アスベスト(労災型)裁判 控訴審第2回審理

大阪高裁に集まろう!

12月4日(金) 午前10時30分~

集合場所 大阪高等裁判所 南の広場(大阪高裁の真南)

9月4日の控訴審第一回審理では、原告の藤原ノリエさんが「地裁判決は許せない。もう一度、立ち上がることにしました」、山本美智子さんが「クボタや国の責任が認められるのは当たり前。高裁は私たちの声に耳を傾けて」、と意見陳述し、満席の傍聴者の胸を打ちました。 弁護団は、控訴理由書を提出しました。労働者の命よりも産業を優先させ、国・加害企業の責任を不問とする不当な地裁判決を、厳しく批判し、①「安産配慮義務」は抽象的危険・危惧があれば予見可能性があるとした判例を踏みにじった、②遅くとも1964~65年ころまでに確立していた予見可能性を無視した、③被害者・山本、藤原両氏の「アスベスト曝露濃度が低かった」とする地裁判決は、アスベスト被害の実態を無視したもの、等々を主張しています。 大阪高裁での第二回の審理が12月 4日午前11時から開かれます。202号法廷(大法廷)です。傍聴席を埋め尽くしましょう。多くのみなさんの参加をお願いします。

裁判後の報告集会は、大阪弁護士会館(12階の大会議室)

以上

2015年9月11日

労災型、大阪高裁での審理始まる

藤原ノリエさん、山本美智子さんが意見陳述

国とクボタの加害責任を問う労災型の尼崎アスベスト訴訟は7日、大阪高裁202号大法廷で第1回目の弁論が行われ、100人が傍聴席を埋め、原告の藤原ノリエさん、山本美智子さんの陳述に耳を傾けました。
今年3月23日の神戸地裁判決は、労働者の命よりも産業を優先させ、国と加害企業・クボタの責任を不問とする不当なものでした。山本、藤原両氏が地裁判決を不服として控訴し、今回の高裁審理となったものです。
藤原さんは陳述で「地裁判決を聞いたとき、裁判は無駄だと思った。しかし、判決は何度読んでも納得できません。今日は夫の18年目の命日。私の後に続く被害者のためにどうしても勝ちたい。納得のできる判決を」と訴え、山本さんも「地裁判決は、夫の命が軽んじられた残念なもの。裁判所はアス ベスト被害のことを少しも理解していない。62歳で苦しみながら亡くなり、運送事業も廃業に追い込まれた被害者の気持ちを高裁は理解してほしい」と訴えました。 (続きを読む…)

2015年9月1日

クボタショックから10年 被害者救済の漏れをなくせ

堀内照文議員が衆院厚生労働委員会で質問

日本共産党の堀内照文衆議院議員は7月31日、厚生労働委員会で、アスベスト被害者救済の漏れをなくし、完全救済するよう厚労省、環境省に迫りました。
中皮腫やアスベストによる肺がんなどが工場周辺住民にまで及んでいることが発覚した、いわゆる「クボタショック」(2005年6月)の翌年に、国がつくった「石綿健康被害救済法」は、国が責任を認めた賠償制度でなく、責任を曖昧にした「救済」法で、死亡時の支給額は葬祭料込みで300万円足らずの低水準に抑えられており、2015年1月31日現在の認定率も、中皮腫で83%、肺がんで46%、石綿肺で24%、全体でも72%と低い水準となっています。「クボタショック」直後に当時の小池百合子環境大臣が「隙間のない救済」を約束していましたが、「制度はつくったが完全救済はしない」というものです。 (続きを読む…)

2015年7月14日

「クボタショックから10年」学習・署名スタート集会に114人

クボタショックから10年

「アジア最大の被害。旧神崎工場から同心円状に広がる被害だが、クボタは今なお『因果関係を否定』。一方で多額の『救済金』」。——神戸新聞論説委員・加藤正文さん

「クボタショック」10年を機に、あらためて公害としてのアスベスト被害の深刻さを学び、知を力にしようと、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は7月12日、著書「死の棘・アスベスト 作家はなぜ死んだのか」で2015年科学ジャーナリスト賞を受賞した神戸新聞論説委員で神戸支社編集部長の加藤正文氏を招いて学習会を小田公民館ホールで開催し、114人が参加しました。
開会にあたり、船越正信会長が「公立病院退院後の往診依頼のなかで、中皮腫患者が相次いで4人。被害の深刻さは度を増している。加藤さんの話を力に、運動を広げ、国の責任を認めさせ、制度の改善につなげていこう」とあいさつ。
続いて加藤正文氏が「過去・現在・未来の『声なき声』に耳を傾けて」と題して講演。加藤氏は尼崎市杭瀬に育ち、神戸新聞の記者として臨海部の尼崎大気汚染、国道43号線排ガス等の報道を継続してきた経験を述べ、「まさか尼崎市中心部の住宅密集地に巨大なアスベスト工場があることを市民のほとんどが知らなかった。クボタ旧神崎工場で明るみに出た工場内外の被害。毒性の強い青石綿を8万8,671トン使用。国内最大の量。白石綿はさらに多く14万9千トンを使用。工場の中は充満する粉塵、防御せずに作業。従業員の半分が発症、4分の1が死亡という『死の工場』。工場外への大量拡散につながった」と指摘。「旧神崎工場から同心円状に広がる被害。責任が問われるが、クボタ社長は因果関係を否定し、『ピークは過ぎた』との認識だった」。加藤氏は立命館大学の海外調査に同行し、アメリカ、イタリア、カナダ等の石綿問題を取材。イタリア、カナダの露天掘り石綿鉱山の光景をスライドで報告、「石綿鉱山を起点に、神戸港に荷揚げされ、日通等によって工場に運ばれ、製品となって建設現場に。震災現場で見られたビル解体と大量の瓦礫。傍を通る大量の市民の肺に、髪の毛の5千分の1のアスベスト粉塵(死の棘)が突き刺さり、20年から50年を経て中皮腫や肺がんを発症する、『複合型ストック公害』」と指摘し、阪神淡路大震災に続き東日本大震災の瓦礫処理の状況を見て、国の対応はいつも遅れ、被害を拡大しており、アスベスト問題は、決して過去の問題でなく、現在につなげ、未来の被害を防ぐ抜本対策が求められると、まとめました。
八木和也弁護団長代行が、弁護団体制の変更と、これまでの闘いを振り返り、今後の課題を報告。粕川實則事務局長が労災型控訴審(9月7日)の参加要請と10月末までに大阪高裁に向けて5万署名の取り組みを提起しました。
日本共産党の堀内照文衆議院議員があいさつ。大門みきし参議院議員、宮本たけし、清水ただし衆議院議員のメッセージが紹介されました。

以上

2015年6月27日

神戸新聞・加藤正文論説委員を招いて学習会

クボタショックから10年

あらためて学び、知を力に!  アスベスト被害実態をもっと知ろう
「いのちに突き刺さる」アスベスト被害の悲惨、なお続く深刻なアスベスト被害。

石綿公害は終わっていない。明日の被害を防ぐには、患者を掘り起こし、石綿が舞った過去と現在をつながなければならない。その作業は未来のこの国の姿を映し出す鏡となるはずだ。(著書より)

記念講演 加藤正文氏

(神戸新聞東京支社編集部長・論説委員)

加藤氏の経歴:1964年、西宮市生まれ、尼崎市育ち。大阪市立大学商学部卒業。神戸新聞入社。経済部、北摂総局、阪神総局などに勤務。尼崎公害反対闘争、アスベスト被害の深刻さなどを積極的に報道。2015年4月、著書「死の棘・アスベスト 作家はなぜ死んだのか」(中央公論社)で2015年科学ジャーナリスト賞を受賞。加藤 正文著 中央公論新社 定価1700円(税別)

すべてのアスベスト被害者の救済の道を開くためにも、国・加害企業の法的責任を明確にする闘いを一層強めていくことが求められています。多くの市民のみなさんのご参加を呼び掛けます。参加費は無料です。どなたでも参加できます。

7月12日(日)午後2時から
尼崎市立小田公民館ホール

◇あいさつ 船越正信会長(尼崎医療生協理事長)
◇これまでの闘いとこれからの課題  兵庫尼崎アスベスト訴訟弁護団

以上

2015年6月26日

労災型・控訴審の第一回審理は9月7日

山本さん、藤原さんを原告とするアスベスト訴訟の大阪高等裁判所での控訴審期日が、下記の日程に決まりました。
大法廷での審理です。傍聴席を埋めつくしましょう。

平成27年9月7日午後2時~
大阪高裁2階 202号法廷

集合時間は、午後1時。大阪高裁南側の公園。

以上