2016年4月5日

石綿被害リスク調査事業実施6自治体が、「恒久的な健康管理システム」の創設を求める

環境省の委託を受けて「一般環境経由による石綿ばく露健康リスク調査」を実施している尼崎市、鳥栖市、奈良県、横浜市、羽島市、北九州市の6自治体は連名で、3月3日、環境省に対して「石綿ばく露の可能性のある者の健康管理についての要望」を提出しました。
この「要望」では、①将来中皮腫や肺がん等、石綿関連疾患のリスクを有する者に対する検診の実施など、恒久的な健康管理システムの創設、②石綿救済法の充実、③住民自らが適切に健康管理を行うために必要なリスク情報の開示、をあげています。
2005年のいわゆるクボタショックを受けて、06年に制定された石綿救済法は、政府が国の責任を認めないまま制定されたもので、死亡しても「救済金」は300万円足らず、石綿大量使用工場周辺住民の健康管理は盛り込まれませんでした。
6自治体は、恒久的な健康管理システムの創設を強く求め、「労働者については、労働安全衛生法に基づく健康管理手帳の制度があるが、一般環境経由の石綿ばく露者には何ら健康管理をする手立てがない」と指摘し、「労働者に対する制度との衡平性の点からも、国の責任において、石綿ばく露」の可能性のある者等が、全国の医療機関において無料で健診及び保健指導等が受けられる制度」を早急につくるよう求めています。
さらに、石綿救済法の充実に関しては、労働者と同等の補償や健康管理ができるように、①労災と同様の5疾病に拡大、②特別遺族給付金や救済給付、休業補償等の充実、等をあげています。

尼崎市のアスベスト被害から「市民のいのちを守る」姿勢が前進

これらの「要望」は、2014年5月に、船越会長を含む「尼崎の会」運営委員会が稲村尼崎市長に疫学調査の早急な実施とともに求めていたものです。
相談活動を通じて蓄積した問題点を伝え、要求や懇談を重ねる中で、尼崎市がリスク調査参加自治体に働きかけて、今回の「要望」となったものです。
国が「責任」を認めていない現状では実現は容易ではありませんが、全国の関係団体や、国会議員の超党派で結成されているアスベスト議連、市議団、県議団とも連携し、私たちも実現のために力を尽くすことが求められます。

以上

2015年12月8日

12月4日 労災型・大阪高裁第2回弁論を85人が傍聴 

弁護団、国・クボタを免責する地裁判決の誤りを指摘

国とクボタの加害責任を問う労災型の尼崎アスベスト訴訟は4日、大阪高裁202号大法廷で第2回弁論が行われ、原告弁護団が加害企業を免責した神戸地裁判決の誤りを厳しく指摘しました。
当日は、木枯らしが吹き荒れる寒い天候でしたが、85人が傍聴し、原告の藤原ノリエさん、山本美智子さんを激励しました。
弁護団は、神戸地裁判決は「予見可能性」があるというためには①抽象的な危惧では足りない、②アスベストに曝露した水準ごとの健康被害の医学的知見の確立が必要、としていますが、これまでの確定判例では「抽象的危険ないし抽象的危惧があれば予見可能性がある」とされていると指摘。「地裁判決は、人の命や健康を犠牲にしてでも企業の制約なき利潤追求を優先するとうい倒錯した価値判断と言わざるを得ない。国の責任についても『速やかに、技術の進歩や最新の医学的知見等に適合したものに改正すべく、適時にかつ適切に行使されるべき』(筑豊じん肺事件、最高裁平成16年4月27日判決)とあるように、規制のあり方は高度化していくというのが最高裁判例の確立した考え方だ」と主張しました。 (続きを読む…)

2015年6月25日

クボタショックから10年  なお続く深刻なアスベスト被害

尼崎の中皮腫死亡リスクは、全国平均の10倍
小田地域では30~50倍

2015年3月4日に環境再生保全機構が発表した、1月末までの労災以外の環境曝露(公害)によるアスベスト被害者は、中皮腫8,601人、肺がん1,311人、石綿肺59人など認定されただけで10,040人となり、石綿健康被害救済法が2006年3月27日に施行されて以来、1万人を超えました。
労災・公害の区別なく、厚労省が昨年9月に発表した「中皮腫による死亡者の年次推移」(1995~2013年)では、2011年までは1,200人台だったものが2012年以降は1,400人台へと、アスベストによる健康被害は深刻の度を増しています。尼崎市における中皮腫死亡者は近年30~40人と、全国的に突出した異常な犠牲者を数えます。全国的にはおよそ10万人に一人に対して、尼崎では1万人に一人、全国比で10倍の超ハイリスクです。クボタ旧神崎工場が操業していた小田地区に限定すれば、尼崎市のリスク調査結果から見て30~50倍の中皮腫死亡リスクが推測されます。
厚労省の「中皮腫死亡の年次推移」統計は、尼崎に居住歴があったり、通勤・通学先が過去にあったとしても、死亡した都道府県でカウントされますから、クボタ由来の中皮腫死亡者は全国に広がっていると思われます。アスベストによる健康被害の特徴は、低濃度であっても、アスベストを吸い込んで20~50年経過して中皮腫や肺がんなどを発症します。「静かなる時限爆弾」と呼ばれる所以です。
クボタは旧神崎工場で1954年から95年までの41年間にわたって23万8,064トン(中皮腫を発症するリスクが500倍とされる青石綿8.8万トンを含む)を超える大量のアスベストを使用し、石綿セメント管や建材を製造してきました。そして、製造工程から発生したアスベスト粉じんを工場周辺に撒き散らしてきたのです。
公害型の最高裁決定で、クボタの加害責任が認定されました。しかし、クボタは「社会的責任」をいうだけで、被害者に対する明確な謝罪をいまだにしていません。

以上

2014年11月27日

会報No23を発行しました。

会報No23(クリックで拡大)