2015年1月1日

労災型、神戸地裁が不当判決

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会会長 船越 正信

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会

会長 船越 正信

 

2015年3月

クボタショックから10年を迎えます。多くの皆さんと団体の方に支えられながら、「尼崎の会」が支援を続けてきた尼崎アスベスト訴訟も2007年5月の神戸地裁への提訴以来8年の時を迎えようとしています。この間の、長年にわたる裁判傍聴支援、署名活動、カンパ活動へのご協力など、地元はもちろんのこと、全国から、本当に多くの物心両面のご支援を頂いた事に心から感謝申し上げます。

尼崎市内のクボタ旧神崎工場へのアスベスト原料の運搬に従事し、肺がんで死亡した男性の遺族がクボタと国を相手に謝罪と損害賠償を訴えていた判決公判が3月23日、神戸地裁で行われ、裁判所(松井千鶴子裁判長)は原告の請求を棄却しました。また、溶接工として石綿エプロンや石綿手袋などを使用して複数の鉄工所に勤務し、肺がんで死亡した男性の遺族が国を相手に訴えていた裁判についても、原告の請求も棄却するという不当な判決を下しました。
判決は、運搬に従事した男性が「肺がんを発症したのは石綿粉じんに曝露したことが原因である可能性が高い」と認めながらも、低濃度での曝露によって重大な健康被害が生じるとの医学的な知見は確立していなかったとしてクボタと国の責任を免罪。原告弁護団は「予見可能性について安全性に疑念を抱かせる程度の抽象的な危惧であれば足りるとする従来の裁判例を否定するもの」と厳しく批判。また鉄工所に勤務した男性についても「大量曝露の証明がない」としたが、原告弁護団は「1973年に低濃度の曝露によっても重大な健康被害を受ける可能性のあることが国際的に認められたと認定しながら、『大量曝露がない』と矛盾した判断」、「石綿に職業曝露したことを認めた労災認定とも矛盾している」などと批判しました。
判決後の報告集会で私は、「低濃度の被曝でも健康被害が生じることは明らか。規制を怠った国、危険を知りながら使用を続けたクボタの責任は免れない。アスベストによる被害者は現に起きているし、今後全国各地で発生することが予想される。今回の判決は今後の被害者救済の道を狭めるものでもあり到底許されない。直ちに控訴してたたかいを続ける」とあいさつしましたが、人間の健康を軽視して企業活動を優先する今回の特異な判決に怒りを禁じえません。
今なお多くのアスベスト被害者が発生し続けており、私たちは、被害者救済と合わせて、国とアスベスト関連企業に対し、被害者に対する医療と生活面への全面的な補償制度の確立を求める運動をすすめます。

以上