2016年11月15日

尼崎アスベスト訴訟(労災型) 最高裁が「上告棄却」の暴挙

最高裁が労災認定されても、「石綿濃度は低かった」と、誰の責任も問わない高裁判決を追認。
大企業・国の意向に沿う、労働者の命を軽視した不当決定。

尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手の遺族が国とクボタに、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の遺族が国に、それぞれ損害賠償を求めていた裁判で、大阪高裁大法廷(佐村浩之裁判長)が、石綿の規制を怠った国と加害企業・クボタの責任を問うことに背を向けるひどい判決だったために最高裁判所に上告していましたが、11月10日、最高裁第二小法廷は「上告棄却」を決定し、原告に通知してきました。これにより、大阪高裁判決が確定しました。
これで、2009年10月13日の神戸地裁での第1回弁論から7年間、経済優先より働く者の命の優先を訴えて闘いを継続してきました。極めて不当な「決定」ではありますが、法廷での闘いは終了することになりました。
地裁、高裁の大法廷をいつも満席にして原告を励まし、署名活動等で裁判闘争を支えていただいた広範な団体・個人のみなさまに、心から感謝申し上げます。
尼崎市ではクボタ旧神崎工場のからの甚大なアスベストの飛散(クボタが「認定」した周辺住民被害者292人)により、全国平均の10倍の中皮腫患者が発生しており、クボタが操業していた尼崎市小田地域では30~50倍の被害が出ています。私たちは今後もアスベスト被害者に寄り添って、解決のために全力を尽くします。

尼崎アスベスト(労災型)訴訟の経過

原告は、尼崎市のクボタ旧神崎工場に下請け業者として石綿運搬作業に従事し肺がんで亡くなった運転手と、耐熱材として石綿製品を使用し暴露を受けて肺がんで亡くなった溶接工の2遺族。(2名とも労災認定済み)
7年前の2009年10月13日に神戸地方裁判所で審理がはじまり、2014年3月26日の結審まで22回の弁論が行われ、2015年3月23日の地裁判決は、原告の請求を否定した、労働者の生命よりも産業を優先させ、国の責任を不問とする不当な判決だった。
「飛散していたアスベストは高濃度ではなかった」という。原告らは直ちに控訴した。
控訴審は、2015年9月7日の審理からスタートし、3回の審理を経て2016年5月26日に高裁判決があった。原告敗訴。高裁判決も、労災認定と矛盾する判断であり、しかも労働者がいつどこでアスベストに曝露したのかを、何十年もさかのぼって立証するという不可能を強いる極めて不当な判断だった。クボタが局所排気装置により十分な対策をしていたというのは、重大な事実誤認(有効な排気装置を付けておれば、旧神崎工場周辺住民に被害が出ることはなかった)である。被告クボタの従業員に多数の労災認定者が出ている事実が,被告クボタの対策の不十分を裏付けている。
国・加害企業の責任を明確にしない限り真の救済策はできないと上告。最高裁は9月16日、第二小法廷で審理を開始すると通知。2か月足らずの11月9日付で最高裁が「本件上告を棄却する」と決定し、翌10日に通知が届く。

以上