2012年8月7日

2012年8月7日 神戸地裁判決に対する声明

加害企業・クボタと国の責任を問う、尼崎アスベスト訴訟で、神戸地方裁判所は8月7日、加害企業・クボタの旧神崎工場周辺へのアスベスト飛散を認める判決を下しました。この判決は、クボタ周辺のアスベスト被害が「公害」であることを認定した全国初のものです。

原告団と弁護団、アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会は、同日の判決報告集会で、以下の声明を発表しました。

声  明  文

2012年8月7日

兵庫尼崎アスベスト訴訟原告団

兵庫尼崎アスベスト訴訟弁護団

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会

本日,神戸地方裁判所第5民事部は,旧神崎工場周辺に居住しクボタが飛散させたアスベストで亡くなった2遺族らの訴えを一部認め,クボタに対し,原告山内に総額3195万2537円の支払いを命じる判決を言い渡した。

本判決は,被告クボタは昭和29年から少なくとも昭和50年頃に至るまで,旧神崎工場外へ石綿を飛散させていたこと,それにより周辺住民が中皮腫などの石綿関連疾患に罹患する危険にさらされていたこと,被害者山内が旧神崎工場の近隣で勤務していたことにより石綿にばく露したこと,被告クボタの石綿排出と被害者山内の健康被害の因果関係を認めた。

そして,昭和47年改正大気汚染防止法25条1項に基づく被告クボタの損害賠償責任を認めた。

しかし,被害者保井の住居や生活圏にアスベスト粉じんが到達していた可能性を否定することはできないとしながら,距離や他原因との関係で旧神崎工場からの石綿粉塵にばく露したと特定することまではできないとして請求を退けた。しかし,これは被害者に過剰な立証責任を課し,事実を誤認したものであり,到底受け入れがたいものである。

国については,クボタが石綿を工場外へ飛散させていた昭和50年の時点においても,石綿工場周辺住民の中皮腫発症リスクが高いとの医学的知見は成立していなかったとして,工場外への飛散を防止する立法や省令の制定をしなかったことは違法とはいえないとして,原告らの請求を退けた。

本判決は,クボタ旧神崎工場周辺でおきた未曽有の石綿被害について,クボタの石綿が原因であることを明確に認め,クボタからの石綿飛散が住民の生活環境を汚染していたことを明らかにした。そして,我が国で初めて公害としてのクボタの法的責任を認めた点に大きな意義を有する。

クボタは,直ちに控訴を断念したうえで,現行の救済金制度について,法的責任を前提とした賠償金制度に抜本的に改めることを求める。

判決が,被害者保井に対する責任を認めず,また国の規制権限不行使の責任がないとした判断は極めて不当である。国は住民の生活環境と健康を守る責任を有し知見はあった。私たちは,判決が国に対する請求を棄却した部分については,控訴審において,さらに主張・立証を尽くして,国の責任を明らかにする。

アスベストによる健康被害は,石綿の使用量,使用期間,そして発病までの潜伏期間の長さからみて,今後一層の拡大が進行し,深刻化すると予測されており,判決を機会に,現在の事態を招いた国と企業が,被害者に対する医療と生活への全面的な補償制度を確立することを求めるものである。

以 上