2012年8月13日

わが国で初めてアスベスト公害の企業責任を認める

クボタと国の責任を問う尼崎アスベスト訴訟

尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺住民に、中皮腫等のアスベスト被害が多発している問題で、加害企業・クボタと規制を怠って被害を拡大した国の責任を問う尼崎アスベスト訴訟は、8月7日、神戸地方裁判所がクボタの責任を認め、損害賠償を命じました。わが国で初めてアスベスト公害の加害責任を認める判決です。

2007年5月8日に提訴して約5年、27回の弁論が、神戸地裁大法廷で続けられ、延べ2,500人を超える傍聴支援を続け、2遺族4原告を励ましてきました。

クボタは、「石綿を取り扱ってきた企業の社会的責任」として、法的責任を認めないまま「救済金」(2,500万円~4,600万円)の支払い(232人に支払い)を続ける一方で、裁判では「製造工程における自動化・密閉化などを進めたため、石綿粉じんを飛散させたことはない」と責任を回避し続けました。

原告弁護団は、尼崎労働基準監督署がクボタ旧神崎工場にしばしば立ち入り調査を行い、その都度、飛散防止の指導を受けていたこと、さらには近隣住民の石綿粉じん飛散の証言等をもとに反論しました。

判決では、クボタが昭和29年から少なくとも昭和50年に至るまで、旧神崎工場外へ石綿を飛散させていたこと、それにより周辺住民が中皮腫等の石綿関連疾患に罹患する危険にさらされていたとして、原告の父親が旧神崎工場の近隣で勤務していたことによる石綿ばく露と健康被害の因果関係を認めました。しかし、もう一人の被害者については、クボタからの石綿粉じんが到達していた可能性を否定することはできないとしながら、住居地までの距離や他原因との関係でクボタの石綿粉じんと特定できないとして請求を退けました。これは被害者に過剰な立証責任を課し、事実を誤認したものです。

国については、周辺住民の中皮腫発症リスクが高いという医学的知見は確立していなかったと、その責任を不問にする不当な判決でした。

判決当日は、300人を超える支援者が神戸地裁に詰めかけ、判決報告集会にも250人が参加しました。8日、9日には臨時電話を設置して被害者相談に応じ、7件の相談が寄せられました。

8日にはクボタ本社に協議の場を設定するよう申し入れましたが、正門の門扉を閉じたまま、応じませんでした。9日には衆議院第一議員会館で院内集会を開催し、18人の衆・参議員(秘書を含む)にこの判決の意義を説明し、今後の協力を依頼しました。

原告側は、控訴して引き続き国とクボタの責任を明確にする闘いを続けます。7万を超える「公正な判決を求める署名」のご協力を頂きました。引き続くご支援をお願いします。

アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会

事務局長/粕川實則